提案や要求、命令や決定などの動詞のthat節では仮定法現在を使います
重要性、必要性、理想などの形容詞を使った構文のThat節でも仮定法現在を使います
仮の未来なので時制をずらして現在形(原形)を使うのが仮定法現在です
should を使って未来を表わすこともあります
どのような使い方をするか例文を交えながら説明します
このブログの内容と例文で参考にしたものはこちらです
できる限りネイティブが発信しているものをベースにしています
<文法書、辞書>
English Grammar in Use (GIU)
Cambridge English Dictionary(Cambridge)
ロングマン現代英英辞典
新英和中辞典:研究社(辞書)
<英語学習サイト&Video>
BBC Learning English (BBC)
EnglishClass101 (EC101)
English with Lucy
mmmEnglish
gymglish
engVid
YouGlish
<その他>
ネイティブのYoutuberなど
真・英文法大全(関正生 著)
一億人の英文法(大西泰斗 著)
実践ロイヤル英文法(綿貫陽 著)
日本人の英語(マーク・ピーターセン著)
記載内容の信頼性のために、情報源の名称や略称などを記述している所があります
(注)当ブログ内の記事で参考にしているものです。1つの記事で全てを見ているわけではありせん
仮定法現在の概要
提案や要求などの動詞の目的語である that節は仮定法を使います
提案や要求内容は、まだ実行することが決まっていない未来のことです
普通の会話では未来は will を使いますが、仮の話なので現在形(原形)にします
現在形を使うので仮定法現在と呼ばれています
- be動詞は原形の be
- 一般動詞は三単現のs をつけない原型
イギリス英語では should を使って未来の話にするのが普通です
仮定法の形(動詞の原形)を使うと丁寧に聞こえます
口語では普通の時制を使うこともあり気軽な表現になります
まとめると次のようになります
彼が行くことを提案します
- I suggest that he go there.
- I suggest he go there.
- I suggest he should go there.
- I suggest he goes there.
①②が仮定法現在です
動詞の原形を使います
thatは省略できます
アメリカ英語です
丁寧に聞こえます
③はイギリス英語で同じ意味です
普通の表現です
④口語では普通の現在形も使われます
英米ともに気軽な表現です
テストでは正しい文法知識が問われるので、これはダメです
動詞の原形(仮定法現在)を使う条件
繰り返しますが、決まってない未来のことを話しているので現在形(原形)で仮の話にしています
suggest だからではありません
suggest では実際の話を示唆することもあり、その時は状況に合った時制(現在、過去)になります
よくある説明では、提案や要求、命令や決定などの動詞では shouldか原形 と書いています
注意してください、動詞で決まるのではなく未来のことだから shouldか原形 にします
原形を使うと丁寧な表現になり、普通の現在形だと気軽な表現になります(BBC Learning)
現代英語では、よほど丁寧な表現にしたい場合を除き、あまり仮定法は使いません(BBC Learning)
BBC Learning で利用者からの質問に対してこのように答えています
※イギリス英語は動詞の原形ではなく should を使うのでこの回答になったと思われます
※一方、アメリカ英語はイギリス英語より頻繁に使います
YouGlish で調べてみると動詞の原形を使っている人は結構いました
テストを含むきちんとした文章では必要な知識なので、会話でも文法を守るほうがいいかもしれません
同様の発想で、次の形の形容詞に続く that節でも現在形(原形)になるものがあります
It is +形容詞 +that節
重要性、必要性、理想などを話すときです
仮定法未来を使う特別な用法はありますが、多くはこのthat節です
特別な用法:God bless you.(bless:原形)など
仮定法現在を使う動詞と形容詞
that節で動詞の現在形(原型)を使う主な動詞と形容詞です
このあと、これらを使った例文を紹介します
主な動詞です
提案・助言
suggest 提案する
recommend 勧める
propose 提供する
advise 助言する
要求・決定
insist 要求する
demand 要望する
arrange 手配する
(decide 決定する)注1
注1 decide は仮定法より直接法で使うことが多いです
依頼・命令
ask 頼む
request 頼む
order 命じる
command 命令する
仮定法現在は、SV+that節 の形で that節の中の動詞を原形にするものです
この中には SV+sb to do の形にして仮定法を気にしなくてもいい動詞があり、次のものです
advise, decide, ask, requset, order, command
主な形容詞です
重要な
important 重要な
vital 重要な
必要な
essential 必要不可欠
necessary 必要な
理想的
desirable 望ましい
urgent 急務な
仮定法現在の例文
仮定法現在を使う動詞と形容詞の例を集めました
that節の中が未来の話だと思って見ると分かりやすくなります
同じ意味で複数の使い方ができるのが混乱の原因ですね
- 動詞の原形(仮定法未来)
- should(イギリス英語)
- 普通の現在形(口語)
- 時制の一致で過去形もあり(口語)
比較できる例文も用意しました
仮定法現在を使う動詞の例文
suggest 提案する
彼が行くことを提案します
(丁寧さなどを考慮した和訳)
I suggest that he go there.
彼が行くかもしれません
I suggest he go there.
彼が行くかもしれない
I suggest he should go there.
彼が行きそうです
I suggest he goes there.
彼が行くかも
thatは省略できます
that と動詞の原形を使うと形式的になるので丁寧に聞こえます
私は彼が今すぐ出発すべきだと提案した。
①I suggested he leave right now.
②I suggested he should leave right now.
③I suggested he leaves right now.
④I suggested he left right now.
①文法的には時制の一致の影響を受けず、現在形(原形)です
②should は過去形なので普通の時制の一致になっています
③口語では原形でなく普通の現在形にすることもあります
④さらに、普通の時制の一致のルールで過去形に一致させることもあります
(補足)これが混乱の原因ですね
He suggests that she see a doctor.
彼は彼女に医者に診てもらうよう提案しています
I suggest that you be there on time.
私は、あなたが時間通りに到着することを勧めます
I suggest that we all be working when the boss gets here.
上司がここに来たとき、私たち全員が働いていることをお勧めします
He suggested that we not speak fast.
彼は私たちが早口で喋らないよう言った
(事実)
I suggest that it is their influence.
それは彼らの影響だと思います
この例では普通の現在形を使い原形にはしません
彼らの影響だと思って示唆している実際の話だからです
recommend 勧める
(イギリス英語)
Doctor recommend that everyone should eat plenty of fruit.
医者はみんな十分な果物を食べるべきだと勧めています
(アメリカ英語)
Doctor recommend that everyone eat plenty of fruit.
医者はみんな十分な果物を食べるように勧めています
(should:普通)
The doctor recommended he should give up smoking.
医師は彼にタバコをやめたほうがいと勧めた
(原形:丁寧)
The doctor recommended he give up smoking.
医師は彼にタバコをやめましょうと勧めました(丁寧)
(現在形:気軽)
The doctor recommended he gives up smoking.
医師は彼にタバコはやめようと勧めた(気軽)
イギリス英語では、should が普通、原形が丁寧、現在形が気軽な表現として使い分けています
一般的に仮定法(原形)は徐々に使われなくなりつつあります
The subjunctive mood in general is slowly falling out of use. (Lucy)
(補足)原形でなく普通の現在形になりつつあるということのようです
She recommends that we read the book.
彼女は私たちがその本を読むことを勧めています
I recommend you take two tablets per day.
1日2錠飲むことをお勧めします
(過去)
I recommended that she come see.
私は彼女に会いに来るように勧めました
過去の話でも勧める内容は仮の話なので現在形のままです
日本語でも似ています
現在「会いに来るよう 勧めます」
過去「会いに来るよう 勧めました」
propose 提供する
(現在)
I propose that you take a seat.
お座りください
I propose that we take a 15 minute break.
15分間の休憩を取りましょうか
(should)
Here’s some of the things I would propose that we should do.
私が提案する「すべきこと」を紹介します
(過去)
I proposed that we try.
試してみようと提案しました
I proposed that it be art.
それが芸術であると言ったのです
過去の提案の話でもthat節内は仮の話(原形)のままです
次のように理論などを提案することもあります
(現在の事実)
Some researchers propose that there’s more to the story.
一部の研究者は、この話には続きがあると言っています
(過去に起こったと想定される)
They will propose that craters were formed by lightning bolts.
彼らはクレーターは稲妻によって形成されたと主張するでしょう
主張するだろうと未来(will)の話ですが、クレーターが形成されたのは過去なので過去形(were)になっています
advise 助言する
(原形)
I advise that you join that.
それに参加することをお勧めします
We advise that you apply as soon as you can.
できるだけ早く申請することをお勧めします
(should)
First, I advise that you should come to the lectures.
まず、講義に来ることをお勧めします
(過去の話)
She advised that 2020 will be a big year.
彼女は、2020年は大きな年になるとアドバイスしました
YouGlish で見つけた表現ですが、that節にwill を使っている理由は分かりません
(事実)
Please be advised that this session is being recorded.
このセッションは録音されていますのでご注意ください
録音されているのは事実なので be ではなく is です
(sb to do)
His father advised him to become a teacher.
父親は彼に教師になるように勧めた
that節ではなく sb to do になることもあります
sb to do だと仮定法は関係ありません
insist 要求する
(原形)
I insist that everybody read the entire thing.
皆さんがすべてを読むものだと言っています
The coach insists that we practice twice a day.
コーチは私たちが1日2回練習することを要求します
(should)
I insist that someone should keep it going.
誰かがそれを続けるべきです
(過去の話)
The dentist insisted that I brush my teeth twice a day.
歯医者に1日2回歯を磨くように言われた
(事実を主張)
I insist that the problem is logical.
問題は論理的ではないでしょうか
It’s why I insist that my drivers are on time.
だからこそ、ドライバーが時間通りに来ると言っているのです
事実だと思っているので普通の現在形です
事実の主張なので仮定法(原形)にはなりません
demand 要望する
The teacher demands that they not be late.
先生は彼らに遅刻しないように要求しています
He demands they clean their rooms, right now.
彼は彼らに今すぐ部屋を掃除するように要求しています
YouGlish では demand の適当な使用例はこの程度でした
arrange 手配する
He would arrange that it should happen.
彼はそれが起こるように手配するでしょう
I’ve arranged that I just need somebody to plant the seed.
誰かに種を蒔いてもらいたいと手配しました
(事実)
She secretly arranged that they were bought by members of her family.
彼女は密かに、家族が購入したように手配した
この例では事実を話しているのでThat節は過去形です
decide 決定する
(命令)
The court decided that the membership of the Appointing Committee for this Chair be as follows…
裁判所は、本議長の任命委員会のメンバーを以下のように決定した
この決定は命令になるため仮定法です
決定した内容が他人に対する命令だと仮定法です
日本の文法書で decide を仮定法現在の動詞に入れているものを見かけます
間違いではありませんが実際には decide の that節で仮定法はあまり使いません
ネイティブの中には使わないという人もいました
このあとの例は実際の話(普通の時制)の例になります
the court decided that it was the state’s obligation.
裁判所はそれが国の義務であると判断した
この決定は事実なので実際の話です
(should)
He may decide he should do that.
彼はそうすべきだと決めるかもしれません
(現在形)
I decide that I want to change.
私は変わりたいと決心します
He may decide he wants to wear it.
彼はそれを着たいと決めるかもしれません
They decide that they want to work with me.
彼らは私と一緒に働きたいと決心しました
(過去)
I did decide that I want the top mark at my school diploma.
私は学校の卒業証書で最高点が欲しいと決めました
自分がしたいと決めたことは仮の話ではなく実際の話です
過去に決めて、決めた内容(that節)がまだ実現してなければ現在形になります
(事実)
What made you decide that this was the book you wanted to write?
何がきっかけで、これが書きたかった本だと思ったのですか?
that節内が過去形なので、既に完成している本を見て話しているイメージがあります
ask 頼む
The organizers asked that I show up on time.
主催者は私に時間通りに来るように頼んだ
The organizers asked that I should show up on time.
主催者は私に時間通りに来るように頼んだ
You asked me to let you know how much it would cost.
あなたは私に、それがいくらかかるか知らせるように頼みましたね
that節ではなく sb to do になることもあります
sb to do だと仮定法は関係ありません
request 頼む
I would request that everyone remain in their seats.
全員が席にとどまるようお願いします
They request that the students have a master’s degree.
彼らは学生が修士号を持っていることを要求しています
Can I kindly request that you stop saying.
話すのをやめてください
They don’t request that you stop, you know?
彼らはあなたにやめるように要求しませんよね?
We requested that that be ceased.
私たちはそれをやめるよう要請しました
They requested that I change my ways.
彼らは私にやり方を変えるように要求してきました
order 命じる
Should we order that all pets be kept indoors?
全てのペットを屋内で飼うように指示する必要がありますか?
He ordered that more journalists be cut.
彼はより多くのジャーナリストを削減するよう命じました
She ordered that a table be put between them.
彼女は二人の間にテーブルを置くように命じました
command 命令する
I command that you leave.
私はあなたが去るように命じます
God commanded that we’re to go into the whole world.
神は、私たちが全世界に行くよう命じられました
I didn’t do the thing that my father commanded that I not do.
私は父が私にするなと命じたことをしませんでした
order, command はかなりキツイ言葉ですね
日常会話で使うことはあまりなさそうです
仮定法現在を使う形容詞の例文
important 重要な
It is important that he stay warm.
彼が暖かく過ごすことが重要です
It is important that it be heard again.
繰り返し聞くことが大事です
It is important that it does that.
それを行うことが重要です
It is important that it is available.
利用可能であることが重要です
原形ではなく普通の現在形も使われています
It is important that he brought it up.
彼がそれを持ち出したことが重要です
彼が持ち出したのは過去のことなので過去形(brought)になっています
vital 重要な
It is vital that we keep learning.
学び続けることが重要です
頑張って学び続けましょう
It is vital that we maintain our discipline.
規律を守ることが肝要です
They’re not necessarily that easy to answer, but it is vital that you do.
必ずしも簡単に答えられるわけではありませんが、答えることは非常に重要です
essential 必要不可欠
全員が時間通りにここにいることが不可欠です。
It’s essential that everyone should be here on time.
It’s essential that everyone be here on time.
It’s essential that everyone is here on time.
suggestなどの動詞と同じで should、原形、普通の時制が使えます
It is essential that they learn how to take risks.
彼らがリスクを取る方法を学ぶことが不可欠です
It is essential that you surround yourself with positive people.
ポジティブな人に囲まれることが不可欠です
necessary 必要な
It’s necessary that you have goals.
目標を持つことが必要です
It’s necessary that you have a plan of action.
行動計画を立てることが必要です
It’s necessary that we never give up.
決してあきらめないことが必要です
It’s necessary that we can take decisions ourselves.
自分で決定できることが必要です
It’s necessary that we never give up.
We need to never give up.
両者の比較
・It’s necessary は形式的で丁寧なイメージ
・日常会話では We need to が普通
It’s necessary は会議や正式の文書で必要性を強調したいときなどに適しています
It’s necessary that it be designed in this way.
このように設計する必要があります
It is necessary that this happen.
これが起こることが必要です
It is necessary that this happened.
これが起こったことが必要です
過去形になることもあります
実際に過去の起こったことを言っています
desirable 望ましい
It’s desirable it’s been the goal all along.
それがずっと目標だったことが望ましいです
It is desirable that they should continue to work together.
今後も連携して取り組むことが望ましいでしょう
urgent 急務な
It is urgent that we do something.
私たちが何かをすることが急務です
So it’s urgent that we act and act fast.
したがって、私たちが行動し、迅速に行動することが急務です
That’s why it’s urgent that we begin this work right now.
だからこそ、今すぐこの仕事を始めることが急務なのです
例文が少いものは適当な例文が見つからなかったものです
日本語で考えても、あまり使う機会がなさそうです
suggestの意味と使い方
控えめに言うとき、日本語は未来か事実かで対応する言葉が変わります
英語はどちらも suggest です
未来 事実 英語
提案 示唆 suggest(控えめに言う)
英単語のイメージと日本語の単語のイメージは一致しません
suggest=提案する、と覚えると本来のイメージではなくなるので注意しましょう
これからすること(提案)にも、事実(示唆)にも同じように使います
話すときのthat節の中では次のように使い分けています
- 未来の提案なら原形(仮定法現在)
- 実際の話なら普通の時制
I suggest that he go there.
彼が行きそう(提案)
I suggest that it is their influence.
彼らの影響だと思う(示唆)
仮定法の説明で「suggsetのthat節は原形」というのは、提案の意味のときです
(注)口語では提案は普通の現在形も使われますが、示唆は原形にはなりません
suggest を一つのイメージ(控えめに言う)で覚えるのも一つの方法です
英語だけで会話するなら正しいニュアンスで理解できます
この覚え方は、翻訳するときに最適な日本語が出にくい弊害はあります
両面から覚えるといいかもしれません
suggest(対応する日本語) :提案、示唆
suggest(言葉のイメージ) :控えめに言う
insist も、未来の要求や事実の主張に使います
suggest が「控えめに言う」のに対しinsist は「強く言う」イメージです
仮定法現在を使うほかの動詞も事実を言うことがあります
繰り返しになりますが、事実を言う場合は原形ではなく普通の時制を使います
おわりに
仮の話(仮定法)をするときは実際の話(直接法)の時制を一つ前にずらします
実際の話 仮の話
(直接法)(仮定法)
・未来 → 現在(原形, be)
・現在 → 過去(were)
・過去 → 過去完了
話す内容が実際の話か仮の話かは、話し手自身には分かります
ただ、日本語はその区別をしていないので慣れるまでは時間がかかるかもしれません
仮の話だと認識できれば、時制をずらすだけで仮の話にする事ができます
suggest の概念は「提案」とは一致しません
そのほかの単語も一致しないものがたくさんあります
英語と日本語の概念や使い方の違いを知るのは、自然な英語を話すための手助けになるはずです
最後まで読んでいただきありがとうございます
この内容が英語学習のお役に立てることを願っています
ここは未来の仮の話を現在形で表す仮定法現在の話です
現在の仮の話は仮定法過去、過去の仮の話は仮定法過去完了でこちらにまとめています