結論から言います
不定詞はしていることには使いません
動名詞はしていることだけでなく、自分がしているイメージがあるものにも使います
これが明確な違いです
していないことでも動名詞を使うのが使い分けを難しくしている原因ですね
動名詞を使うものは次のものです
- 予定
- 気持ち
- 想像
- 私の提案
- (その他)
では、詳細を見てみましょう
不定詞と動名詞の違い概要
like での使い方
普通は like の目的語は不定詞でも動名詞でも同じ意味で使えます
I like playing tennis.
I like to play tennis.
私はテニスをするのが好きです
次の例は動名詞を使う特定の状況です
I live in Tokyo now. I like living there.
東京に住んでいます。そこに住むのが好きなんです
今していることには不定詞は使いません(GIU)
しているときは doing(している)を使います
文字の通りですね
(注)GIU : Grammar in Use で説明している内容です
不定詞と動名詞の基本的な違い
後続するものが不定詞と動名詞で意味が違う動詞があります
それを見ると、両者の違いがよく分かります
どちらを使うかで行動が逆になるのは面白いですね
I stopped to watch the building.
建物を見るために立ち止まった
I stopped watching the building.
建物を見るのをやめた
to はこれからすることです
doing は今していることです
これが基本的な両者の違いです
ただ、残念ながらそんなに分かりやすい使い方だけではありません
してないことに動名詞を使うもの
動名詞はしていないことにも使います
主な動詞の使い分けを分類すると次の範囲で使っていました
- 予定
- 気持ち
- 想像
- 提案、おすすめ
①予定
日常会話で予定の話し方を思い出してみましょう
I’m traveling tomorrow.
明日から旅行です
予定は進行形を使うのを知っている方も多いと思います
予定は動名詞を使う範囲です
予定変更に関する表現がいくつかあります
(予定変更)
He delayed answering the letter.
彼はその手紙の返事を書くのを遅らせた
I postponed doing my housework for a few hours.
私は家事をするのを数時間後に延ばした
②気持ち
I enjoy reading.
読書を楽しんでいる
I don’t mind losing.
負けても気にしない
enjoy と mind の後は動名詞を使います(GIU)
気持ちを話すときはしているイメージがあるのがネイティブの感覚です
した経験(doing)があるから、それに対する気持ちを感じるのでしょうか
頭の中でしている(doing)イメージがあるから気持ちを感じるのでしょうか
重要なことは解釈ではなくて、気持ちは動名詞を使うということです
③想像
Would you consider marrying me?
僕との結婚を考えてくれませんか?
I can’t imagine ever retiring.
引退は考えられません
想像したり検討したりするのは、頭の中でしている(doing)イメージなのでしょう
④提案、おすすめ
I recommend reading this book.
この本を読むことをお勧めします
I suggest ordering online.
オンラインで注文することをお勧めします
提案やおすすめすることは、して(doing)良かったことやしたいと思うことです
してない、しない(to do)ことは提案しても説得力がないですね
ただ YouGlish で検索すると、まれに to do を使っている人もいました
会話では言い間違えても気にしないで話し続けるのが良さそうです
前置詞の後は動名詞を使うとか、そのほか例外はあると思います
日常会話では多くないと思いますが、例外を見つけた時は個別に対応ですね
不定詞と動名詞、分詞について詳細にまとめたものがこちらにあります
不定詞と動名詞の比較
別途まとめたものから、両者の違いを比べてみます
動名詞のみと不定詞のみを目的語とする動詞の比較です
違いは使い分けるときの話し手の気持ちです
これを意識して意味を比べると違いがよく分かります
- 動名詞(doing)
した/している/する予定、気持ち、想像、私の提案 - 不定詞(to do)
これからする/していない、しないもの、相手のこと
していること vs これからすること
(注)意味はスマートな日本語ではありませんが、状況が分かりやすい表現にしました
being | していること | to do | これからすること |
---|---|---|---|
したこと | 計画、決心 | ||
admit | したことを認める | expect | することを期待する |
deny | したことを否定する | plan | することを計画する |
mention | したことをちょっと言う | promise | することを約束する |
recall | したことを思い出す | decide | することを決心する |
recollect | したことを思い出す | manage | することをうまく扱う |
resent | されたことに腹を立てる | ||
していること | 望み、依頼 | ||
enjoy | していることを楽しむ | ask | することを頼む |
finish | していることを終える | hope | することを望む |
keep | していることを続ける | want | したい |
quit | していることをやめる | wish | したい |
practice | することを練習する | learn | することを習得する |
practice と learn について
practice:実際に練習しているイメージがあります
learn:学んで習得するところまで意識するため、習得はまだ先のイメージになります
予定変更 vs していない
being | 予定変更 | to do | していない |
---|---|---|---|
予定変更 | していない | ||
avoid | することを避ける | claim | したと主張する |
delay | することを遅らせる | pretend | したふりをする |
postpone | することを延期する | threaten | すると脅す |
escape | されることから逃れる | fail | しそこなう |
avoid, escape と fail について
avoid, escape 避ける/逃れる(そのままだとしてしまう)
fail できなかった事実(していない)
avoid, escape は何もしなければ始まってしまうので、その状況(一種の予定)を変えるイメージです
fail はできなかった事実を伝えているイメージです
気持ち/想像/私の提案 vs しない/相手に同意・励ます
being | 気持ち/想像/提案 | to do | 相手に同意/励ます |
---|---|---|---|
気持ち | しない | ||
detest | することを嫌う | decline | することを丁寧に断る |
mind | することを気にする | hesitate | することをためらう |
miss | できないのを惜しむ | refuse | することを拒否する |
resist | することを我慢する | ||
想像 | 同意する、提供する | ||
consider | することを熟考する | agree | することに同意する |
imagine | することを想像する | offer | することを申し出る |
permit | することを許す | ||
提案 | 相手を誘う、励ます | ||
advise | することを忠告する | invite | するように誘う |
recommend | することを勧める | encourage | することを励ます |
suggest | することを提案する | ||
その他 | |||
afford | することに余裕がある |
permit と hesitate について
permit(許す)はできる状態になるので doing になるのでしょうか?
hesitate(ためらう)は気持ちではなく、しないという行動に意識があると思われます
解釈が難しいものは、語感で覚えるのが良さそうです
例文はこちらにあります
offer について
offer にも「提案する」の意味がありますが、私がいいと思うものを提案するのではなく、相手の意向を考えての行動を意識しているようです
advice(忠告する):この言い方は、自分の行動ではなく相手のことを考えているイメージですね
おわりに
実際の使い分けに対して、しているイメージがあるかどうかで解釈したものです
違う解釈もあると思います
自分なりの解釈を見つけてください
重要なことは次の2点です
- to不定詞はしていることには使わない
- 動名詞doing は自分がしているイメージがあるものに使う
更に言えば、慣れて語感で使えるようになれば解釈は必要なくなります
ネイティブの先生も明確な説明は難しいと言っています
日本人が日本語の「てにをは」の使い方を簡単に説明できないのと同じです
説明できなくても、みんな正しく使っています