冠詞についての具体的な説明です
個別の話なので分かりやすくて楽しく読めます
みなさんも一度は「なぜ?」と思った話がきっとあります
個々の内容から冠詞のイメージを固めていくのも一つの方法です
冠詞の一般的な話はこちらにまとめています
冠詞の意味と可算/不可算の見分け方
a, the, 複数 の使い分け(other)
冠詞のルール一覧に書きましたが、冠詞と単数/複数だけで多くの意味が伝わります
- 不定冠詞(a)
たくさんある中のひとつ - 定冠詞(the)
特定できるもの、一つに決まるもの
一つに決まるので、残り(other)だと全ての残りになります
・the + 単数:一つでそれが全て
・the + 複数:複数あるもの全て - 複数
たくさんある中のいくつか
(注:状況により、一般的なその物を示すこともあります)
次の例は具体的なイメージです
それぞれの違いが確認できます
冠詞は名詞に付けるものではないですね
冠詞によって、その後に続く名詞の状態を示しています
これを理解すれば、a, the, 複数、の使い分けは楽になります
もう一つ重要なことがあります
可算名詞か不可算名詞かの切り分けが必要です
それは簡単ではありません
会話での使い方(例)
次の日本語を英語にしてみましょう
テーブルにケーキがあるよ
残りは冷蔵庫に入れているからね
この情報だけでは、英語に翻訳するときに冠詞は一つに決まりませんね
考えられるいくつかの例を紹介します
There is a cake on the table.
table 🍰
The other is in the fridge.
fridge 🍰
a cake, the other(the other cake):それそれ1個
There are some cakes on the table.
table 🍰🍰
The others are in the fridge.
fridge 🍰🍰🍰
some cakes, the others(the other cakes):それぞれ数個
複数は cakes だけでなく、be動詞にも注意しましょう
love, chance と luck
形があるものでの可算名詞と不可算名詞のどちらで扱うかは冠詞のルール一覧に書きました
ここでは不可算名詞で形がないものの見分け方、使い方を説明します
不可算名詞でも、その一部を切り出すと可算名詞として扱えます
始めと終わりが明確になると切り出したものになりなす
不定冠詞(a)によってそれが期間のあるものだと示しています
不定冠詞(a)がなければ期間のない状態を示していると感じます
love 愛
love with her
彼女との愛(の状態)
a love with her
彼女との愛(の期間)
love のような抽象名詞の場合でも a によって始めと終わりがある事を示すことができます
終わりも明確なので、残念ながら彼女との愛は終わっています(悲しい)
chance チャンス
Let me know when you get a chance.
ご都合の良い時にお知らせください
chance(チャンス)は可算名詞です
このチャンスは連絡ができる期間です
連絡できる期間は始まりと終わりがあります
luck 運
I won the lottery. Lucky!
宝くじに当たった。幸運だ!
I won again. Don’t let it end, Lucky!
また当たった。幸運よ終わらないでくれ!
luck(運)は不可算名詞です
この運の始まりはいつ?終わりはいつ?
始まりと終わりが明確にできないものは可算名詞にはできません
不可算名詞
luck のように単独では可算名詞にならないものをいくつか紹介します
news ニュース
advice アドバイス
evidence 証拠
progress 進捗状況
information 情報
behavior 行動
permission 許可
chaos カオス
damage ダメージ
不可算名詞であっても、切り出せば可算名詞として扱えます
不定冠詞(a)だけでは切り出せないので、a bit of などの形にします
A lecture gives you a bit of information.
講演はちょっとした情報を与えてくれるものです
I’ve got a piece of news for you.
あなたにお知らせがあります
Now, I’ll give you a piece of evidence more credible.
では、もっと信憑性のある証拠をお見せしましょう
可算名詞と不可算名詞の使い方の違い
複数の表現が違います
可算名詞 two chances
不可算名詞 two pieces of advice
可算名詞は数詞を使って複数形にします
不可算名詞は切り出したものを複数にします
不定冠詞(a)
不定冠詞(a)には、どのような意味があるのでしょうか?
Merry Christmas and Happy New Year
Merry Christmas and a Happy New Year
このフレーズをときどきクリスマスカードで見かけます
こういうものの影響で新年は a が必要と思っている人もいそうです
そして、日本人の多くは happy new year に a を付けるかどうかと考えます
少し発想を変えてみましょう
それそれの意味を考えると見え方が変わります
a happy new year
いつものハッピーな新年の期間
新年の期間をイメージしています
happy new year
ハッピーな新年(です)
ハッピーな気持ちをイメージしています
a によって、happy new year を名詞として使っています
a がないと Happy birthday! のように「おめでとう」の意味になります
クリスマスカードと年賀状はこんな感じでしょうか
Merry Christmas and Happy New Year
クリスマスおめでとう そして 新年おめでとう
Happy New Year
ハッピーな新年(ですね)
クリスマスと新年はいくつかの曲で歌われています
日本では「おめでとうクリスマス」などのタイトルで知らるクリスマスソングと、ジョンレノンの「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」には次のような歌詞があります
We wish you a Merry Christmas and a Happy New Year
あなたの良いクリスマスと新年を望みます
A very Merry Christmas and a Happy New Year. Let’s hope it’s a good one
良いクリスマスと良い新年。良い年になることを願おう
ハロウィンの前によく聞くフレーズです
Have a Happy Halloween!
ハロウィン当日はこちらです
Happy Halloween.
同じ仲間を集めてみます
Have a nice day!
よい一日を
Have a Happy Halloween!
よいハロウィンを
Have a Merry Christmas!
よいクリスマスを
Have a Happy New Year!
よい新年を
Happy birthday!
誕生日おめでとう
Happy Halloween!
ハロウィンおめでとう
Merry Christmas!
クリスマスおめでとう
Happy New Year!
新年おめでとう
a を付けるか付けないかと考えるより、話している意味を考えればスッキリします
Happy Halloween, Merry Christmas, Happy New Year は、その当日より前から使う人もいます
(和訳は意訳なので和訳で考えると違和感もあります。和訳で考えるなら直訳にしましょう)
クリスマスカードは「Merry Christmas and Happy New Year」で大丈夫です
Merry Christmas and a Happy New Year でも大丈夫のようです
YouGlish を見ていると、オバマ元大統領も言っていました
Merry Christmas はキリスト教の行事なので、キリスト教以外の人が多い地域では使わない傾向もあるようです
代わりに Happy Holidays と言いますが、Merry Christmas and Happy Holidays. と言っている人もいます
クリスマスを一つのイベントとして楽しむ人も多いので、そんなに気にしなくても大丈夫みたいです
Google Ngramでの使用頻度を調べてみましたが、減少の傾向は見られませんでした
few と a few
この例も不定冠詞(a)の持つ意味について考えてみます
まず a と few の個別の意味です
a :数えられるもの
few :ほとんどない
では few と a few を比べてみましょう
- few ほとんどない
ありそうだけど数えられるものが見つからない - a few 少しある
ほとんどないけど確実に数えられるものがある
a で始まるものは数えられるものです
ちなみに a little は数えられないものに使いますが a で始まります
おそらく a few に対応させるために a little にしたと思われます
数が限られた言葉で無限の状況を表現するので、こうした例外は多数存在します
定冠詞(the)
いくつかの例で、定冠詞(the)の持つ意味を考えてみます
固有名詞
一般に固有名詞には冠詞は不要です
唯一のものなので、冠詞がなくても一意に決まるためです
でも、定冠詞(the)で始まる固有名詞もあります
次のものです
- 名前の中に the が必要な名詞があるもの
- 山脈や島々など複数のものをまとめたもの
- 命名者が自分で付けたもの
① the が必要な名詞があるもの
the Sea of Japan
日本海
the Mediterranean Sea
地中海
the Pacific Ocean
太平洋
the Amazon River
アマゾン川
the Sahara Desert
サハラ砂漠
the Cascade Tunnel
カスケードトンネル
the Golden Gate Bridge
ゴールデンゲートブリッジ
The University of Tokyo
東京大学
The Fuji Mountain
富士山
the Japanese Islands
日本列島
the United Kingdom
イギリス
the States (the United States of America)
アメリカ
例外で the がないものもあります
London Bridge や Westminster Bridge などはありません
the がなくても、みんなが固有名詞だと認識するほど一般になれば不要になる傾向があります
② 複数のものをまとめたもの
the があるのに名詞がないときは、その名詞が省略されているためです
さらに、複数のもの全体(山脈や島々など)を示す意味もあります
the Alps (the Alps Mountains)
アルプス山脈
the Rockies
ロッキー山脈
the Pyrenees
ピレネー山脈
the Philippines (the Philippine Islands)
フィリピン
the Netherlands
オランダ
The Fuji Mountain と Mt. Fuji
The Fuji Mountain
富士山
Mt. Fuji
山の富士山
The Fuji Mountain は mountain があるので the です
Mt. Fuji は 山の富士 と言っているので the は不要です
次の例も同じです
Mr. Yamanaka
男性の山中さん
Mrs. Yamanaka
女性の山中さん
Lake Yamanaka
湖の山中湖
地名が先頭にある施設(橋、駅、大学など)では the がないものがいくつかあります
London Bridge ロンドン橋
Westminster Bridge ウェストミンスター橋
Los Angeles Airport ロサンゼルス空港
Shinjuku Station 新宿駅
Harvard University ハーバード大学
Kyoto University 京都大学
普通の名詞に the を付けて固有名詞にしているものがあります
・The Tower(ロンドン塔)
イギリスでは「あの特別な塔」といえばみんなロンドン塔を思い浮かべるのでしょう
・The City(ロンドンの中心地区)
イギリスではロンドンの中心地区は特別な場所と思っているようです
これは方言に近いですね
私の田舎でも、市の中心の駅を「市駅」と呼んでいました
③ 自分で付けたもの
自分で付けた名前は the で始めるものがあります
the で特別なものだと強調する意味があります
the Ritz-Carlton ザ・リッツ・カールトン
The Beatles ザ・ビートルズ
特別なもの(the sun)
the sun, the earth, the moon
なぜ sun に the がついているのか?
sun や earth が固有名詞だと思っている人もいます
実際に固有名詞としても使われています
sun は「恒星」の意味があります
the sun :あの特別な恒星
あの特別な恒星と言えば、それ以上の説明がなくてもみんな太陽だと分かります
太陽は宇宙に一つしかない存在だからと解釈している人もいます
The sun is a star.
太陽は恒星の一つだ
星には名詞がついているものがあります
・Vega ベガ
・Sirius シリウス
・The Big Dipper 北斗七星
・Sun 太陽
これらの一つとして Sun を固有名詞として使うことがあります
(注)The Big Dipper:複数の星で構成されているため、それらをまとめる意味で the が必要になります
earth と moon も同じです
earth は土地などの意味があります
moon 月は地球だけでなく他の惑星(木星、土星など)にもあります
the earth あの特別な土地
the moon あの特別な月
特別な土地や月と言えば、地球であり夜空に輝く月だと理解します
The moon is beautiful.
月が美しい
惑星には名前がついているものがあります
・Mars 火星
・Venus 金星
・Earth 地球
これらの一つとして Earth を固有名詞として使うことがあります
これに類するもの
the sky
the sea
the ground
空
海
地面
the country
the world
the universe
田舎
世界
大宇宙
the country(田舎)は a city(都市)に対する田舎です
city は一つのかたまりのイメージなので可算名詞です
country は city の周りに広がっていて、一つのイメージがないので不可算名詞です
country を国の意味で使うときは a country のように可算名詞になります
特別な場所(the park)
特定の場所を表す名詞は the 使うのが普通です
He went to the park.
彼は公園に行きました
She stayed at the museum.
彼女は美術館に行きました
He needed to go to the stadium.
彼はスタジアムに行く必要がありました
I went to the cinema.
私は映画館に行きました
I went to the theatre.
私は劇場に行きました
全体に対する一部(in the morning)
the morning
the morning の the は少なくとも2つの意味があります
- 「一日の時間の流れ」という全体の中の「朝」
午後でも夕方でも夜でもない「朝」です - 特定できる「朝」なので、午前中全体です
the morning は始めと終わりがある朝全体のイメージです
辞書によると次の時間帯になります
- the morning
夜明けから昼(at noon)までの全期間 - the afternoon
昼(at noon)から日没までの全期間 - the evening
日没から寝るまでの全期間 - night
寝ている期間(暗い時間)
▼the morning
↑breaking dawn
夜明け
▼the afternoon
↑at noon
昼
▼the evening
↑at sunset
日没
▼night
↑sleep
就寝
in the morning と at night
in the morning なのになぜ at night なのでしょう?
- in the morning
夜明けから昼までの全期間の中 - at night
寝ている時
at night は the がないので期間のイメージがありません
暗い期間は寝ていて短い1点(at)に感じたと思われます
夜は in the night にすることもあります
・at night は普通の夜の話に使います
・in the night はいつもとは違う特別な夜に使います(GIU)
I was woken up by a noise in the night.(夜中に騒音で起こされた)
on Monday と in the morning
on:その一日に乗っているイメージ(テーブルの上に乗っているような感じ)
in :ある期間の中というイメージ
月曜日は1日のイメージ
朝は、時間的には短いけど夜明けから昼までの少し長い期間をイメージしたのでしょうか?
それぞれのイメージに従って、次のように使い分けています
at :時間(ある一点)
on :1日(一つの物に乗っている)
in :週、月、年(ある期間の中)
東西南北
日本語では「東西南北」ですが英語では順番が違います
north, south, east and west
方角を表すときは the north です
morning と同じように少なくとも2つの意味があります
東西南北の中の「北」、そして北側全体です
the north 北側
the south 南側
the east 東側
the west 西側
the north
北西← 北 →北東
↑ ↑
西 ※ 東
the west the east
↓ ↓
南西← 南 →南東
the south
① They went east.
彼らは東に行った
The North is cooler than the South.
北側のほうが南側より涼しい
Look to the north and you will see the lake.
北側を向けば湖が見えるよ
① They went east. は the がありません
東側全体のイメージではないと思われます
難しいですね
その他
左右も、右側/左側を意識すれば the で始めます
the right 右側
the left 左側
年代も同じように使えます
the 1980s 1980年代
the 2000s 2000年代
the 2010s 2010年代
説明の追加による特定化
初めての言葉でも説明があれば the で特定できます
比較してみましょう
He sat down on a chair.
椅子に座った
He sat down on the chair in this room.
この部屋に一つしかない椅子に座った
Do you have a car?
車を持っているの?
I cleaned the car yesterday.
昨日、車の掃除をしました(自分の車ですね)
I stayed at a hotel.
ホテルに泊まりました
The hotel where we stayed was very cheap.
宿泊したホテルはとても安かったです
理解はできても、正しく話すのは難しそうです
このような例を見て、身近なもので話す練習をすれば効果的かもしれません
無冠詞
不定冠詞(a)と定冠詞(the)に該当しなければ無冠詞です
そんな中で、なぜこれが無冠詞なのか疑問に思うものがあります
愛称(Mom)
愛称は固有名詞になるので無冠詞です
アメリカのバイデン大統領
Wikipediaによると正式な名前は Joseph Robinette Biden Jr. です
よく聞く Joe Biden(ジョー・バイデン)は愛称ですが、この名前もバイデン大統領の名前です
愛称も固有名詞になります
母親や父親を呼ぶときの Mom, Dad も愛称です
愛称なので固有名詞です
愛称として使っているときは大文字で始めます
子供が「ママ」と呼ぶ相手は1人しかいません
唯一のものに決まるので愛称であり固有名詞になります
通学している学校(school)
I go to school.
I go to a restaurant.
通学してるschool(学校)は無冠詞です
・school(学校)に学びに行く
・restaurant(レストラン)に食事に行く
どちらも、その目的に焦点を当てて不可算名詞として扱ってもいいはずです
さらに、学校は一つに決まる特別な場所なのに the が不要なのはなぜでしょうか?
学校に学びに行くのは、決まった一つの学校のみです
レストランに食事に行くのは、たくさんある中のどこでも行けます
She is at school.
彼女は学校に行っています
She is in school.
彼女は在学中です(アメリカ英語)
school はこんな使い方もします
学校と言う場所ではなく、学習するところ(目的)の意味で使っています
I go to school by bus.
バスで通学しています
I’ll go to the school my son goes to.
息子が通っている学校に行きます
通学している場合のみが無冠詞です
college や university も同様に通学していれば無冠詞です
次の場所も同様の発想で無冠詞になります
hospital 通院している病院
church 信者として通っている教会
患者や信者としてという条件が必要なことが共通しています
the bank
これに近い発想で、初めて会話にでてきたときから定冠詞(the)を使うものがあります
the bank 口座があるなどでいつも行っている銀行
the post office いつも行っている郵便局
the doctor 病気でお世話になっている医者
the dentist 歯の治療でお世話になっている歯医者
自分がいつも利用したりお世話になったりしているので特別な存在(the)になります
気になる話題
単複同形(fish)
冠詞と直結する話題ではないので簡単に説明します
次の2つは単数形でも複数形の形をしているものです
手段 means
シリーズ series
a means to an end
目的達成の一手段
This story is part of a series.
この物語はシリーズの一部です
単数でも複数の形(s)をしているため、複数も同形になったと思われます
次のものは同じような発想で単複同形になったという説があります
昔の発音は現在と違っていて、その当時の発音が単数と複数で似ていたらしい
そのため同形になり現在に引き継がれているという説です
魚 fish
鹿 deer
羊 sheep
百 hundred (数字を言うとき)
千 thousand (数字を言うとき)
群れをなすものという説もあります
数は少ないので個別に覚えるのがよさそうです
thousand は数字を表すときは単数形です(hundredも同じ)
two thousand people:2千人
数字以外は複数形になります
many thousands of people:何千もの人々
食材の不可算名詞(rice)
食材の不可算名詞です
小麦粉 flour
米 rice
スパゲティ spaghetti
マカロニ macaroni
ほうれん草 spinach
アスパラガス asparagus
次のような使い方になります
2 cups of flour.
小麦粉2カップ
Blend in flour to form a dough.
小麦粉を混ぜて生地を作る
I’m gonna add two cups of cooked macaroni.
茹でたマカロニを2カップ加えます
I have eaten lots of rice and beans in my life.
私はこれまで、お米と豆をたくさん食べてきました
米(rice)は不可算名詞なので単数形のままです
豆(bean)は可算名詞なので複数形(beans)になっています
米1粒とかスパゲティー1本は次のように表現します
a grain of rice
1粒の米
two grains of rice
2粒の米
a strand of spaghetti
1本のスパゲティ
普通は髪も不可算名詞ですが、料理などに入っている1本の髪の毛は可算名詞としても使えます
I found a strand of hair.
1本の髪の毛を見つけた
I found a hair in my soup.
スープに髪の毛が 1 本入っていた
髪は可算名詞か不可算名詞か、どちらを使うか悩みそうです
これらの例を見ると、生活の中でカップ1杯などのまとまった単位で使うか、1つ2つと数えて使うかの違いに思えます
普段使っている言葉が文法としてまとめられたものだから、そういうものと理解するしかなさそうです
集合名詞(people)
集合名詞は大きく2つに分かれます
- 同一の目的を持った人のグループおよびそれに準じるもの
・class, family, company など
・まとまりを一つとみれば単数扱い(一つなので不定冠詞)
・中のメンバーを意識すれば複数扱い(複数なので不定冠詞なし) - 個別のいくつかのものをまとめた概念
・food, furniture, work など
・明確に一つのものに決まらないため不可算名詞になる(不定冠詞なし)
people(人々)と police(警察)は複数扱いする集合名詞です
このタイプに属する名詞はほかにもありますが、聞きなれないものばかりです
この2つを例外にすれば、ほかの集合名詞が理解しやすくなります
不定冠詞(a)が必要なのは①で一つのまとまりと見なしたときだけです
それ以外は不定冠詞(a)は不要で無冠詞ですが、多くの場合は定冠詞(the)や他の限定詞などを伴います
集合名詞は冠詞よりも、あとに続く動詞の変化を気にする必要があります
①目的を持った人のグループ
一つのグループ 単数形 | 複数のグループ 複数形 | 意味 |
---|---|---|
audience | audiences | 聴衆、観客、読者 |
class | classes | クラス |
club | clubs | クラブ |
committee | committees | 委員会 |
company | companies | 会社 |
couple | couples | 夫婦、恋人 |
crew | crews | 乗組員 |
crowd | crowds | 群衆 |
family | families | 家族 |
government | governments | 政府 |
public | publics | 一般の人々、公衆 |
staff | staffs | 職員 |
team | teams | チーム |
generation | generations | 世代 |
このタイプの集合名詞は普通の可算名詞のように使います
一般的な可算名詞との違いは、単数形のままで複数扱いすることがあります
A class is learning English.
クラスは英語を学んでいます
The class are a great bunch of kids.
クラスは素晴らしい子供たちばかりです
グループに属する人は次のように表現します
I’m a member of the staff.
私はスタッフの一人です
I’m a staff member.
私はスタッフメンバーです
日本語では「私はスタッフです」と言いますが、英語に直訳すると不自然になります
staff は class と同じ集合名詞です
(×) I’m a staff. だと「私はクラスです」と同じような違和感があります
people と police
目的を持ったグループのイメージに近いので、ここで説明します
集合名詞 | 意味 | 含むもの:単数 | 含むもの:複数 | 意味 |
---|---|---|---|---|
people | 人々 | a person a woman a child | persons women children | 人 女性 子供 |
police | 警察 警察官 | a police officer a policeman a policewoman | police officers policemen policewomen | 警察官 警官 婦警 |
これらは複数扱いになります
人々と言うときは people が一般的で persons はあまり使われません
一人の警察官は (×) a police ではなく a police officer になります
②複数の個別のものをまとめた概念
①の class などは可算名詞なので、不定冠詞を伴ったり複数形になったりします
それに対してこちらは不可算名詞なので、不定冠詞(a)が不要で単数の扱いになります
食べ物
(注)集合名詞の意味を明確にするために「類」を付けています(以下同じ)
集合名詞 | 意味 | 含むもの:単数 | 含むもの:複数 | 意味 |
---|---|---|---|---|
food | 食べ物類 | rice potato chips | (不可算名詞) (複数扱い) | 米 ポテチ |
fruit | 果物類 | an apple | apples | リンゴ |
(fish) seafood | 魚類 魚介類 | a fish a salmon a crab | fish salmon crabs | 魚 サーモン カニ |
bread | パン類 | a croissant | croissants | クロワッサン |
fish(魚)は特殊です
1匹の魚、複数の魚に使えます(単複同形)
さらに魚類(複数の魚の集合体)にも使えます(集合名詞)
魚の種類を意識したときは fishes(複数形)になります
salmon(サーモン)は単複同形です
魚介類は単復同形が比較的多くあります
animal(動物)と plant(植物)は可算名詞です
集合名詞は複数の物を集めた概念ですが、それらとは言葉の成り立ちが違うようです
二足歩行の人に対して、人以外の四足歩行のものを animal(動物)と呼び、動く動物に対して大地から生えているのもをplant(植物)と呼びました
このような例外と思えるものは多数存在します
最終的には個別に覚えるしかなく、覚える過程で意味付けをし忘れにくくするのに役立てるのが良さそうです
身近なもの
集合名詞 | 意味 | 含むもの:単数 | 含むもの:複数 | 意味 |
---|---|---|---|---|
furniture | 家具類 | a table a chair | tables chairs | テーブル いす |
clothing | 衣類 (参考) | pants, jeans dress clothe(動詞) cloth | (複数扱い) dresses clothes(洋服) cloths | パンツ、ジーンズ ドレス、ワンピース ー 布、布地 |
jewelry | 宝石類 | a jewel | jewels | 宝石 |
money | お金 | a coin a bill | coins bills | コイン お札 |
設備や荷物
集合名詞 | 意味 | 含むもの:単数 | 含むもの:複数 | 意味 |
---|---|---|---|---|
machinery | 機械類 | a machine | machines | 機械 |
equipment | 設備類 用具類 | a device a tool | devices tools | 装置 道具 |
baggage luggage | 荷物類 | a bag | bags | かばん |
郵便物類 | a postcard a letter | postcards letters | はがき 手紙 |
制作物
集合名詞 | 意味 | 含むもの:単数 | 含むもの:複数 | 意味 |
---|---|---|---|---|
documentation | 書類 | a document | documents | 文書 |
poetry | 詩類 | a poem | poems | 詩 |
music | 音楽類 | a song jazz, rock | songs (不可算名詞) | 歌 ジャズ、ロック |
抽象名詞
集合名詞 | 意味 | 含むもの:単数 | 含むもの:複数 | 意味 |
---|---|---|---|---|
scenery | 風景 | a scene | scenes | シーン |
laughter | 笑い | a laugh | laughs | 笑い |
work | 労働全般 | a job a task | jobs tasks | 仕事 作業 |
travel | 旅 | a trip a journey | trips journeys | 小旅行 長い旅 |
traffic | 交通 | a car | cars | 車 |
weather | 天気 | a nice day | ー | いい日 |
education | 教育 | a lesson | lessons | レッスン |
stuff | もの | a thing | things | 物 |
I’m doing a lot of stuff here.
いろいろやっています
I’m doing a lot of things here.
多くのことをやっています
stuff は不可算名詞なので複数形にはなりません
stuff は特定のものではない漫然としたものも含みます
thing は有形の物のイメージがあり、可算名詞なので複数形になります
おわりに
冠詞の一般的な話にも書きましたが、これは一つの説です
おぼえるための語呂合わせのようなものとして使えばいいと思います
英語も日本語と同じ言葉です
日本語が普通に話せるのは、単語と日本語らしいフレーズを覚えているからです
英語も考えて単語やフレーズを作っていくものではありません
応用するときは考えてるよ?
時間はかかりますが、一つ一つ覚えていくしかなさそうです